大正時代を代表する人気作家「芥川龍之介」の名作集!
才能あふれる芥川の有数の著名作品の中から厳選22作品を収録!
古今東西の古典をモダンに甦らせた芥川作品。
短編小説の名手としても名高く、数々の名作を残し人々を魅了し続けています。
上品な言葉、きめが細かい心理描写で綴られる、
芸術の風格を有した、芥川作品を存分にお楽しみください。
◆もくじ
・羅生門
・蜘蛛の糸
・杜子春
・トロッコ
・蜜柑
・河童
・藪の中
・或阿呆の一生 [新字旧仮名]
・歯車
・侏儒の言葉
・西方の人 [新字旧仮名]
・続西方の人 [新字旧仮名]
・鼻
・芋粥 [新字旧仮名]
・地獄変 [新字旧仮名]
・枯野抄 [新字旧仮名]
・奉教人の死 [新字旧仮名]
・戯作三昧
・素戔嗚尊
・老いたる素戔嗚尊 [新字旧仮名]
・蜃気楼
・お富の貞操 [新字旧仮名]
◆『芥川賞』
大正から昭和のはじめにかけて活躍した芥川龍之介の名を記念して、
制定された文学賞である。
無名もしくは新進作家を対象とし、各新聞・雑誌に発表された純文学短編作品中最も優秀なるものに呈する賞である。
◆芥川作品の特徴
短篇小説を得意とし、多くの傑作を残した。
初期の作品には、西洋の文学を和訳したものも存在する。
文章構成の仕方も英文学的であるといわれ、
論理的に整理された簡潔・平明な筆致に特徴がある。
・『羅生門』
『今昔物語集』の「羅城門登上層見死人盗人語第十八」を基に、「太刀帯陣売魚姫語第三十一」の内容を一部に交える形で書かれた作品。
高校教科書などでも採用され、広く知られている。
・『蜘蛛の糸』
3つの段落から構成される掌握小説。人間のエゴイズムを端的に表現し、無駄の無い綺麗な文章の流れで知られる傑作。
・『杜子春』
中国の古典、鄭還古の『杜子春伝』を童話化した作品。
人間味にあふれた話へ変えると共に児童向けの教育的な物語にアレンジされた名作。
・『トロッコ』
家族との絆という意味での「愛」を表現した作品。
孤独や不安を巧みに描き人間と人間のつながりの尊さを伝える名作。
・『蜜柑』
短編の中でも極めて短い小説だが、色鮮やかで爽やかな印象の作品。
美しい描写が想像力を刺激する感動作。
・『河童』
人間社会を痛烈に風刺、批判した小説。
芥川の晩年の代表作として有名。
当小説の発表および芥川の自殺によって、より知名度が上がることになった作品。
・『藪の中』
芥川の作品中でも屈指の数の論文が書かれた作品。
今昔物語の一説話を題材にした「王朝物」
・『或阿呆の一生』
芥川自殺後に見つかった文章で、自分の人生を書き残したと思われている。
友達への遺書の中に、この事が詳しく記されてある。
ぼんやりとした不安が、鬱を思わせるような優しく冷たい文章で筆致されている。
・『歯車』
第一章は生前、雑誌「大調和」に発表され、残りは遺稿として発見された。
晩年の代表作で、遺稿中では唯一の純粋な作品。
・『侏儒の言葉』
箴言集・文学作品。晩年の作品として有名。
芥川の人間嫌い、厭世感が漂う作品。
・『西方の人』
イエス・キリストの人間らしい苦悩と、芥川自身の苦悩を重ね合わせた作品。
・『続西方の人』
芥川の苦悩の深さが記された作品。
本作品を書き上げた翌日 芥川は自死したことでも有名。
・『鼻』
初期の短編小説。
『今昔物語』の「池尾禅珍内供鼻語」および
『宇治拾遺物語』の「鼻長き僧の事」を題材としている。
「人の幸福をねたみ、不幸を笑う」と言う人間の心理を捉えた作品。
・『芋粥』
古典翻案ものの一つと位置づけられている。
芥川の想像力を生かして、「自由」の追求がテーマとなっている作品。
・『地獄変』
芥川の代表的作品の一つ。
芥川自身の芸術至上主義と主人公の姿勢が絡めて論じられることが多く、発表当時から高い評価を得た作品。
・『枯野抄』
人間の内奥までえぐり出した鋭い心理描写作品。
・『奉教人の死』
戦国時代の京阪地方の話し言葉で描いた作品。
戦国時代の長崎を舞台に、周囲の誤解と偏見から教会を追放されたキリシタンの生き様が描かれた「切支丹物」の傑作。
・『戯作三昧』
江戸末期の市井の風俗の中で、芸術至上主義の境地を生きた主人公に、自己の思想や問題を託した作品。
・『素戔嗚尊』
日本神話の「オオクニヌシの根の国訪問」のエピソードを、
スサノオノミコトの視点で描いた作品。
・『老いたる素戔嗚尊』
『素戔嗚尊』の続編となる作品。
出雲に住み始めてから大国主の根の国訪問譚までをスサノオノミコトの視点で描いた作品。
・『蜃気楼』
芥川が自殺する半年前に書かれた作品。私小説的な雰囲気が色濃い。
・『お富の貞操』
明治初期の話題を取り上げた「開化物」
非常時における若い女性の、犠牲とも献身とも違う
突発的で微妙な心理や感情の動きが記された作品。
◆著者情報
芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)
(1892-1927)東京生れ。
東京帝大英文科卒。
在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。
その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表大正文壇の寵児となる。
西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、
東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。
1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、
「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。
「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。